ハローワークでキャリアアップをしよう!活用できる制度を紹介
目次
現在の職場ではキャリアアップの機会が少なく、自身のスキルを活かしてもっとやりがいのある仕事を見つけたいとお悩みではないでしょうか。
なかには、「ハローワークにキャリアアップできるような支援はあるの?」「キャリアアップについてハローワークで相談したい」などと考えている方もいるでしょう。
本記事では、ハローワークでキャリアアップを支援する制度について解説しています。支援を受ける際のポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ハローワークでキャリアアップを支援する制度
ハローワークでキャリアアップを支援する制度は次の2つがあります。
1. 教育訓練給付金
2. 公的職業訓練
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
①教育訓練給付金
「教育訓練給付金」は、平成10年度(1998年度)から雇用保険制度にて設けられた、働く方のスキルアップを支援するための制度です。
給付金の支給対象者は、「現在雇用保険に3年以上加入している(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、1年以上)」または、「離職後1年以内で、雇用保険に3年以上加入していた」方です。また、教育訓練給付金を受給したことがある方は、前回から3年以上経っている必要があります。
給付金は、厚生労働大臣の指定を受けた「教育訓練講座」にかかった経費(入学料や受講料など)を自費で4千円以上負担した場合に支給されます。
訓練名 | 給付金支給額 |
---|---|
一般教育訓練 | 20%相当の費用が支給される 上限は10万円 |
特定一般教育訓練 | 40%相当の費用が支給される |
専門実践教育訓練 | 50%相当の費用が支給される 1年間のトータル金額が40万円を超える場合、支給額の上限は40万円 訓練を最大期間(3年)受けた場合、支給額の上限は120万円 |
(参照元:厚生労働省「教育訓練給付金制度」)
また、専門実践教育訓練については、受講修了後に事前に指定されていた資格などを取得後、訓練受講修了日の翌日より1年以内に被保険者として雇用された場合や、すでに雇用されている場合は訓練にかかった費用の20%相当が追加支給されます。
②公的職業訓練
公的職業訓練とは、「①公共職業訓練」「②求職者支援訓練」の2種類の訓練を合わせたものの総称で、「ハロートレーニング」という愛称で呼ばれています。主な対象者はそれぞれ以下の通りです。
訓練名 | 主な対象者 |
---|---|
①公共職業訓練 | 雇用保険(失業保険)を受給している求職者 |
②求職者支援訓練 | 雇用保険を受給できない求職者 |
公的職業訓練ではキャリアアップや希望する就職を実現するために、必要な職業スキルや知識を習得することを目的とした各種訓練が受けられます。
教育訓練給付金を受けられる「教育訓練講座」とは
教育訓練給付金を受けられる対象となる「教育訓練講座」は、令和5年(2023年)10月1日現在で約15,000講座あります。そして、習得できる内容やスキルのレベルによって、「①一般教育訓練」「②特定一般教育訓練」「③専門実践教育訓練」の3つに分けられます。
訓練名 | 目的 | 講座内容(一部) |
---|---|---|
一般教育訓練 | 雇用の安定や就職支援やスキルアップ促進 | 簿記検定 TOEIC 修士課程を目指す講座 |
特定一般教育訓練 | 再就職や早期キャリア形成の支援 | 大型自動車第一種・第二種免許 中型自動車第一種免許 |
専門実践教育訓練 | 中長期にわたるキャリア形成の支援 | 介護福祉士・看護師・保育士などの資格取得を目標とする講座 商業実務・衛生関係・工業関係などキャリア形成を促進する講座 AI・セキュリティなどのスキル習得講座 |
(参照元:厚生労働省「教育訓練給付制度」)
上記で紹介した講座の内容は一部であるため、詳しく知りたい方は厚生労働省「教育訓練給付制度」の検索システムで探してみてください。
公的職業訓練で受講できる「ハロートレーニング」とは
ハロートレーニングの受講対象者は、働こうとしている方や働いている方などすべての方です。そのため、失業中や働きたいのにスキルが不足している場合でも受けられます。
そのほかにも、障がいを持っている方や高等学校、四年制大学、短期大学、専修学校などを卒業した学卒者に向けたさまざまな訓練もあります。
スキルアップを目指す在職者向けの訓練もあるため、自身のスキルを磨き、キャリアアップしたいと考えている方におすすめです。
ハロートレーニングを受講するにはハローワークに訓練の必要性などを認めてもらい、「受講あっせん」を受ける必要があるため、訓練が受けられるかどうかについてはお近くのハローワークにて相談してみましょう。
お近くのハローワークを探すならこちらのページからどうぞ。
全国ハローワークの所在案内|厚生労働省
受講費用・期間・手続き
ハロートレーニングの受講費用や期間、場所などについては次の通りです。
公的制度であるため、基本的に受講料の負担はありません。しかし、キャリアアップをめざず在職者や学卒者の場合、有料となるため注意が必要です。また、一部のテキスト代などは自己負担となります。
【公共職業訓練の期間】
対象者 | 期間 |
---|---|
在職者 | 数日 |
学卒者 | 1~2年 |
離職者 | 基本的には3ヶ月程度。 1年間〜2年間の訓練もある。 |
障害者 | 3ヶ月~1年 |
対象者 | 期間 |
---|---|
ハローワークの求職者 (主に雇用保険を受給できない方) |
2~6ヶ月 |
ハロートレーニングの訓練受講手続きは、基本的にはハローワークにて行います。訓練の受講対象となるかどうか、最寄りのハローワークに相談してみてはいかがでしょうか。
年代別キャリアアップを目指せるおすすめ訓練コース
ハロートレーニングの訓練コースは年代によって、おすすめのコースが異なります。
ここでは、はたらくサーチ編集部による年代別おすすめコースを紹介させていただきます。
働き盛りの20代・30代の方は、これから将来的にキャリアアップを目指せるような
「Web制作コース」「プログラミングコース」「国際ビジネスコース」などのスキルを習得できる訓練がおすすめです。
これまでの経験やスキルを活かせる40代の方には、事務全般や営業などに活かせる「パソコン実用コース」や「介護職員育成コース」などがおすすめです。
上記は一例ですので、自分に合った訓練コースは、厚生労働省の「職業訓練検索」で探してみてはいかがでしょうか。
とはいえ、人気のコースは競争率も高くなっており、希望通りにいかない場合もあります。コースをいくつも同時に受けたり連続して受けたりはできません。
また、子育て中の方も安心して訓練を受けられるよう、託児サービス付きの訓練もあります。どのコースが自分に合っているのか、ハローワークの職員と相談して決めるとよいでしょう。
ハローワークでキャリアアップ支援制度を受ける際のポイント
ハローワークでキャリアアップの支援制度を受ける際のポイントは2つあります。
- 目指す求人があるか事前に調べておく
- 求人検索サイトに登録しておく
給付金や訓練の支援制度を受け、スキルを磨く前に自分の目指す求人があるか調べておきましょう。
また、併せて求人検索サイトに登録し、スキルアップをしながら求人情報をピックアップしておくことで転職活動もスムーズになります。
目指す求人があるか事前に調べておく
ハローワークでキャリアアップ支援制度を受ける前に、現在のキャリアを活かしてキャリアアップにつながるような仕事があるかを調べましょう。
良い求人が見つかれば、ハローワークで支援制度を受けなくても、転職をしてキャリアアップにつながる場合があります。
また、教育訓練講座やハロートレーニングを受け、スキルを磨いたあとに働けるような求人があるか調べておきましょう。
せっかくキャリアアップ支援制度を受けてスキルを習得しても、活かせる職場がなければ元も子もありません。目指す求人が見つかれば将来的なビジョンも明確になり、目標が立てやすくなります。
求人検索サイトに登録しておく
教育訓練給付金や公的職業訓練などの支援を受け、キャリアアップにつながるスキルを習得するのと併用して、求人検索サイトに登録しておきましょう。
登録した求人検索サイトで気になる仕事をいくつかピックアップしておくことで、スキル習得後の転職活動もスムーズになります。
求人検索サイトの「はたらくサーチ」では、全国のハローワークの求人情報と連携しており、スマートフォンやパソコンから検索・応募ができます。サイト内で履歴書の作成までできるので、求人検索サイトへ登録する際は、ぜひ活用してください。
ハローワークのキャリアアップ助成金とは?誰がもらえる?
ハローワークのキャリアアップ助成金は「非正規雇用労働者の労働意欲の向上」や「キャリアアップの促進」を目的とした制度です。
対象者は契約社員・派遣社員・アルバイト・パートなど、非正規雇用労働者の処遇改善への取り組みを行った事業主となります。
また、助成金は厚生労働省から事業主へ支給されるため、求職者個人が申請してもらえるものではありません。
ハローワークでスキルを磨いてキャリアアップを目指そう!
ハローワークの「教育訓練給付金」の助成が受けられる「教育訓練講座」や「公的職業訓練」で受けられる「ハロートレーニング」は、キャリアアップにつながるスキルの習得が可能です。
制度を活用しながら求人検索サイトを併用すると、効率よく転職活動ができます。
この記事を参考に、できることから一歩ずつ新たなステップアップの道を進みましょう。まずは、気軽に求人検索ができる「はたらくサーチ」で希望の求人を見つけてみてはいかがでしょうか。きっとあなたにマッチする求人が見つかるはずです。
この記事の監修者
五十川将史 (ウエルズ社会保険労務⼠事務所代表)
1977年岐⾩県⽣まれ、社会保険労務⼠。
明治⼤学卒業後、⼤⼿⾷品スーパー店⻑や⺠間企業の⼈事担当、ハローワーク勤務を経て、2014年に社労⼠の資格を取得し独⽴。
ハローワークでの勤務経験を活かし、中⼩企業1000社超の採⽤に従事。
SMBCコンサルティングなどのメガバンク系シンクタンクや全国経営合理化協会などの各種団体、全国各地の商⼯会議所、労働局、社会保険労務⼠会などでの講演実績も多数あり、受講者は1万⼈を超える。
著書に「中⼩企業のためのハローワーク採⽤完全マニュアル」(⽇本実業出版社、2024年)、「⼈が集まる!求⼈票実例集160職種」(誠⽂堂新光社、2022年)、「ハローワーク採⽤の絶対法則」(誠⽂堂新光社、2018年)などがある。
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